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「中高生年代ならでは」のトレーニングとは? 川崎ブレイブサンダース ユースチームの取組み

小学生から高校生年代までの選手が所属する、川崎ブレイブサンダースユースチーム。現在、年齢別に4チームが活動している。それぞれ30名ほどの選手で活動しているU15とU12に加え、今年4月には選手9名によるU18と選手13名によるU15女子を新たに発足した。

今回はU15、U18を中心に携わるスタッフの話から、「中高生ならでは」のトレーニング、そして「Bクラブのユースならでは」の活動に迫った。

川崎ブレイブサンダースユースチームの厚いスタッフ体制

川崎ブレイブサンダースユースチームの特徴として、まずコーチ、スタッフの手厚さがあげられる。トップチームを統括する北卓也ゼネラルマネージャー(GM)がユースチーム全体を統括し、4つのカテゴリーにはそれぞれ専任のヘッドコーチが配置されている。練習には必ずアシスタントコーチも含めて3名以上のコーチが入る。

さらに、コンディショニング面の手厚さがある。トレーナー陣はトップチームの指導をしていたメンバーを含む3人体制で、選手のケアを行っている。栄養面などを含めたコンディショニングの統括を行う吉岡淳平フィジカルパフォーマンスマネージャー(PPM)はラグビーのサントリーサンゴリアス、2018-19シーズンまでトップチームに所属していた兒玉清志アスレティックトレーナー(AT)は日本代表などの指導経験を持つ。

こうした体制により、トップとユース、コーチとトレーナーの連携がなされ、トップとユースが一体となって、チームの強化を進める文化が築かれている。

コンディショニングを統括する吉岡PPM

十人十色の個性を見極め、個々に成長を促すプロの指導

成長過程の選手が避けるべき最大のリスクは怪我だ。選手の後押しはもちろん大切だが、一方で大人がブレーキをかけるべき状況もある。

吉岡PPMは過去に、怪我でパフォーマンスを落とし、キャリアを損なう選手と接してきた。「能力があるのに大事なところで力が発揮できない選手を見てきました。成長の度合いに応じて練習の負荷、ボリューム、インテンシティ(強度)を変えるべきです。同じ中1でも体格差はかなり出ますから、見極めを僕らがやらなければいけない」

選手の内面も見極める必要がある。十人の選手がいれば、十通りの個性がある。苦しさを大げさに言う選手もいるし、逆に危険な痛みをじっと耐える選手もいる。トレーナーは対話の中で個性を見極め、手を打たなければいけない。川崎ブレイブサンダースのユースチームはトレーナーと選手の人数比が適切で、一人ひとりに目を光らせることができる。

またトップチームと同様に、ユースチームでもデータの収集、情報提供を重要視している。吉岡PPMは説明する。「身体の異変に気づいて対応するため、何が普通で何が異変なのか、アンテナを立てやすくするポイントを作ってあげています。例えば身体の柔軟性テストがあります。見るのは腰、膝、足首、股関節周りなどで、休み明けや疲れているときは体が硬くなります。写真を撮って角度を測って、データを並べて可視化してグラフで見せてあげる。そうすると改善点が自然と頭に入ります」。

コミュニケーションを取り、選手の個性を見極める

通常の練習ならば、トレーナーが受け持つ時間は30分程度。腕立て伏せ、スクワットといったどのチームも手掛けるオーソドックスな内容だ。中学生年代までは、バーベルやマシンを使わないメニューにとどめている。ただしメニューは同じでも、トレーナーの「腕」で効果は変わってくる。

U15 川崎ブレイブサンダースに所属する選手たちは、中1から中2にかけて1年間で平均8キロの体重増加を果たした。成長期だからトレーニングと無関係に身体が大きくなる時期とはいえ、同世代の平均(4.7キロ)を大きく上回る数値だ。兒玉ATは強調する。「しっかりフォームを作るところがトレーニングとしてのメインです。無理はさせないけれど、愛護で終わるつもりもない。これは行けると励ます、大丈夫と言っているけれど止める判断は知識、経験、スキルが必要です。それがあるから僕らはここにいると思っています」。

怪我の予防、パフォーマンス向上の両面において重要なのが「正しい動き」の習得だ。疲れればフォームは崩れる。崩れたフォームはトレーニングの効果を落とし、怪我のリスクを上げる。そのチェックと修正がトレーナーの大切な仕事だ。

選手の動きをチェックする兒玉AT

身長の伸びが止まれば、選手たちはバーベルなどの器具を使ったメニューに移っていく。川崎ブレイブサンダースのユースが取り組んでいるのは、次のステージに上手く入る準備になる。吉岡PPMは述べる。「しっかりした体制を持つ大学は、(器具を使わない)基本が何回以上できたらバーベルを持とうという順番でトレーニングを進めます。中学生からできていれば、大学へ行ったときにすごくスムーズです」。「ボールを使えないときのトレーニングは、部活生のほうがやっているかもしれません。でもそのタイミング、トレーニング以外の食事、休養の摂り方が大切です。ユースの選手には、練習をした残りの21時間をどう過ごすのかが重要だと伝えています」。

吉岡PPMのトップチームとユースチームの兼任、そして兒玉ATのユースチームへの転任には、このような考えがあった。「トップチームへあがったとき、フレッシュな身体を持った選手を増やしたい。そのために責任を持てる人材をユースに置かなければいけないなと思いました」。

選手は座学でも身体のケアや栄養について学ぶ

学校のテスト期間をも考慮するコンディション調整

新型コロナウィルスによる練習停止は分かりやすい例だが、中断から急に強度を上げると怪我のリスクも上がってしまう。吉岡PPMはチーム全体がスムーズにコンディションを戻す方法について「段階的に、1週間毎に運動量を10%ずつ上げるのが一般的な方法です」と説明する。

コンディションの悪化、ばらつきが生まれる要因は他にもある。川崎ブレイブサンダースユースはコーチとトレーナーが共同して、この問題に対応している。兒玉ATは「すごく難しいのは中学校ならテストです。学校の違う子が集まっていますから、テストで休んだ子とまだテストのない子は、コンディションが違い過ぎてしまう。でも我々が『強度を上げすぎないでほしい』と言うと、コーチは『戦術確認の練習にします』と調整もしてくれます」と述べる。

トップチームから転身した兒玉AT

吉岡PPMはユースチームについて「上まで行ける選手はまだ出ないかもしれないですけど、意識付けや身体に関する準備は今ならここでしかできない部分があります。とにかく準備を覚えられる。そこはすごく大きいです」と語る。プロであるトップチームのビジョンと連動し、長期的な視点で選手を育成することはBクラブのユースチームならではの活動。それに取り組むことで、大人になったときに怪我に悩まされず正しいトレーニングができる選手を輩出することが日本のバスケットボールの底上げにつながると考えている。

川崎ブレイブサンダースユースチームでは、来年4月に加入する選手のセレクションを予定している。U15男子の山村亮介ヘッドコーチは、川崎ブレイブサンダースへのチャレンジを考えるバスケ少年・少女にこうメッセージを送る。「ここでトップを目指したい、川崎ブレイブサンダースのトップチームに上がりたい。その一心を持った子が受けに来ると、何とかして彼らのサポートをしてあげようという気持ちになりますね。思いを持った子を楽しみに待っています」

U15を率いる山村ヘッドコーチ

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