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プロバスケクラブの管理栄養士が語る「ウィズコロナ時代」の食事指南

さまざまな分野のスペシャリストが集う、川崎ブレイブサンダースのチームスタッフ陣。今回はその中から、"体作り部隊"の1人である管理栄養士の花谷遊雲子にインタビューを実施しました。

チーム付の管理栄養士となり、今年で7年目。選手一人ひとりに寄り添った花谷管理栄養士の栄養アドバイスによって、選手たちは日々たくましく成長しています。チームのサポートに際して心がけていること、あの選手の意外なエピソード、ウィズコロナ時代の食事アドバイス(選手たちがクラブハウスで食べているメニューのレシピつき!)…盛りだくさんの内容を、ぜひご覧ください。

プロフィール
花谷遊雲子(はなたに・ゆうこ)
1971年生まれ、茨城県出身。京都府立大学大学院食生活科学専攻課程修了。
保健所勤務を経て、2000年よりアスリートのサポートに携わる。
現在は川崎ブレイブサンダースの他、マーメイドジャパン(アーティスティックスイミング日本代表)、三菱重工相模原ダイナボアーズ(ラグビートップリーグ)のサポートも行っている。

現場の様子を把握した上で適切なサポートを行う

ーまずは、花谷さんの仕事内容を教えて下さい。
いくつかの柱があります。1つはBTH(クラブハウス)や遠征先のホテルの食事を確認し、調理してくださる方と調整すること。 もう1つは週に一度、練習場とBTHに行って、選手とコミュニケーションをとることです。午前中は練習に参加して選手のパフォーマンスを確認し、昼食のときに「この食材ってどんな栄養があるんですか?」とか「体重がうまく増えないんです」というような相談にこたえることが多いですね。また、選手の奥様から個別相談もお受けしていますし、ユースチームの栄養相談や講習会も行っています。

練習場で選手の様子を細かくチェック

ーホームゲームにも帯同されていますよね?
そうですね。なるべく帯同するようにしています。

ー試合会場でも何か栄養サポートをしているんですか?
いえ。試合に帯同する大きな目的は、選手たちが体作りをどのように実戦に生かしているかを確認することですね。選手にとって一番大切なのって、試合で力を発揮することじゃないですか。練習とは緊張感も運動強度もまったく違う状況で、栄養サポートがきちんと生かされているかを確認することは、コンディショニングを担当する人間としての使命なのかな、と。

試合を見て初めて実感できることって、たくさんあるんです。例えば、ハードなプレーとリカバリーを両立させることって、一般人が想像する以上に大変なんだなとか……。食事を見て「これを食べてね」ということが、管理栄養士の仕事だとは思っていません。現場スタッフの一員として、チームや選手の状態を自分自身できちんと把握して、それを次のサポートに生かしていくことが大事だと考えています。

チームスタッフとのコミュニケーションも大切にしている

自分の体と向き合い、栄養面でも挑戦し続ける選手たち

ー栄養に関する、選手のエピソードを聞かせてください。
長谷川選手は加入のころからすごく変わりましたね。当時は「よくあれだけのプレーができるな」って驚くくらい体も食も細くて、ケガや貧血の傾向もありました。そこから数年間、体をつくりたい時期、試合期と期わけに応じた食事のとり方など会話を重ねてきました。

「コンビニで買うときはこれをプラスしてね」とか「外食のときはレバニラ定食にすると栄養的に最強だよ」といろいろアドバイスしているうちに、気づけば体重がぐんぐん増えて、外国籍選手とマッチアップしても平気なくらい体が強くなっていました(笑)。

ーあの長谷川選手にも、そんな時代があったとは!
そうそう。あんなにクールで堂々としている長谷川選手も、苦手な「食べること」にきちんと向き合って、着実にステップアップしてきたんです。

篠山選手も、苦手なブロッコリーやひじきを「体のためだから」とがんばって食べてますよ。サラダはいつも「ブロッコリーオタク?」っていうくらいブロッコリーが山盛り(笑)。ファジーカス選手はコンビニなどを利用せずいつも奥さん手作りのものを食べてますし、「遠征先のホテルに抗酸化作用の高いアボカドを入れてほしい」とリクエストを受けたことも。いいものを取り入れたいという姿勢がとても強いんです。

ーどの選手も、自分の体としっかり向き合って食事をとっているんですね。
食事はアスリートにとって非常に大事な要素ではありますが、年がら年中ストイックに同じルーティーンを続けられる選手は稀です。「食欲がない」とか「お酒を楽しみたい」というように、波があって当然だと思っています。

ただ、そういう波がある中でも、川崎ブレイブサンダースの選手たちは「自分はプロのバスケ選手だ」という一本の軸を見失わず、いいパフォーマンスを発揮するために、食事に対するチャレンジを続けています。一つずつできることを増やしていって、着実に自分の体に還元している姿は、本当に頼もしい! もう言うことなしです(笑)。

ストレスが生じやすい今だからこそ、食べることを楽んで!

ー昨今の新型コロナウィルスの流行を受けて、栄養のスペシャリストとして感じることはありますか?
リモートワークや自粛などのストレスを受けて、「食べ過ぎちゃう人」や「食べられなくなっちゃう人」が増えた印象がありますね。

ーどう対応すればよいでしょう?
まずは理由を考えてみましょう。例えば、夜に食べすぎてしまうという人は、朝食をとるのが苦手だったりしませんか? 朝は体が食べ物を受け付けないという方は、スムージーでとるのもおすすめ。少しでも体に栄養を入れてみることで、食事のリズムがいい方向に向かうかもしれません。川崎ブレイブサンダースの選手たちは、スムージーを自宅やBTH、遠征先ホテルなどでとりリカバリーにつなげています。栄養価の高い緑黄色野菜や果物をとりいれながら、おいしく栄養補給しています。ファジーカス選手は、オリジナルスムージーをみんなにふるまってくれたりします。

スムージーのおすすめレシピ

グリーンスムージー
◇材料(1杯分)
・小松菜 1株
・キウイ 1/3個
・バナナ 1/3本
・低脂肪乳 100ml
・レモン 小さじ1/2
・はちみつ 大さじ1

レッドスムージー
◇材料(1杯分)
・いちご 5個
・ミニトマト 4個
・ヨーグルト 1個
・低脂肪乳 100ml

レタスムージー
◇材料(1杯分)
・レタス 片手1杯
・バナナ 1本
・オレンジジュース 200ml

作り方

・野菜、果物はざく切りにする
・材料を全部ミキサーにいれてスイッチオン
※食感を残したい場合は約1分、とろとろが良ければ約2分、ミキサーを回す

ひとことMemo

・野菜と果物の組み合わせで、ビタミンA(β-カロテン)・ビタミンCがたっぷり摂れます
・野菜、果物は、ざく切りにして冷凍保存しておくと便利です
(必要な分だけとりだして作ると時短できます)
・小松菜のかわりにほうれん草、低脂肪乳の代わりに豆乳やヨーグルトで作っても美味しいです

逆に、「食べ過ぎちゃう日があってもいい」と開き直ってもいいかもしれませんね。一週間に一度は、夕食で好きなものを思いっきり食べる。そのかわり、朝昼は軽めにして、夕食にも野菜のお惣菜を付け足すとかできればベターです。

ージュニア期のお子さんたちに対しては、何かアドバイスはありますか?
ユースやスクールの選手の話を聞くと、運動する機会が減って、食事が食べられなくなったという選手はけっこういるようです。ジュニア期は成長のためにしっかり食べなければいけませんから、まずは毎朝体重をはかる習慣をつけてみましょう。体重が減っていたら要注意。食べる量を増やしましょう。

とは言っても、食欲が落ちている場合は、食卓にお皿がたくさん並ぶだけで食欲を失うこともあるので、ごはん・おかず・サラダというような定食スタイルよりも、ごはんにおかずをのせた「どんぶりスタイル」と具だくさんのお味噌汁として提供するのがおすすめです。

BTHで提供している色々な丼たち

ごはんはおにぎりにしてもOK。お茶碗に盛るよりカサが小さくなるので、自然と量が食べられます。あとは、食べる回数を増やしてもいいですね。もしお昼のお弁当や給食が十分に食べられなかったら、帰宅直後の間食や夜食におにぎり、バナナやパン、ゼリーなどでエネルギーを補うようにしてみてください。 ー食べ過ぎる人も、食べられない人も、やり方次第でいろいろな工夫ができそうですね。

リモートワークで疲れてる人は、テイクアウトのお店を新規開拓してみたり、コンビニのお惣菜をベランダで食べたり、好きな音楽を聞きながら食べたりしてもいいですよね。一日の中で一回でも楽しく食べることで、ストレスもずいぶん軽減されると思います。 今はいろんな食事法がありますが、本来食事って「おいしかったら食べる」「おなかが減ったら食べる」っていうシンプルなものじゃないですか。おなかが減ったら食べる。食べたらおいしくて元気が出る。元気が出たら体もリカバリーされる。リカバリーされたらコンディションが上がって自信もつく……。そういう循環が生まれれば何よりです。

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