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カルファ二選手に聞く、母国ウルグアイと日本の文化(前編)

「ウルグアイ」
という国の名前を聞いてサンダースファミリーがまず連想するのは、当然、マティアス・カルファニ選手でしょう。ですがみなさん、カルファニ選手以外のウルグアイに関する知識をどれくらいお持ちですか? おそらく大半の方が「南米の国」程度しかご存じないのではないでしょうか。

それもそのはず、日本に在留するウルグアイ人はわずか118人しかおらず(総務省調べ。2019年12月末のデータ)、日本を拠点に活動するウルグアイ出身アスリートも、カルファニ選手いわく「僕が3人目だろう」とのこと。プロバスケットボール選手としてはカルファニ選手が初です。

日本人にとってはまだなじみの薄いウルグアイの文化や魅力を、カルファニ選手にたっぷりと教えてもらいましょう!

プロフィール
マティアス・カルファニ(Mathias Calfani)
1992年生まれ。ウルグアイ・アルティガス出身。16歳で国内プロデビューを果たし、2016-19シーズンは隣国・アルゼンチンの強豪「サン・ロレンソ」で活躍し、チームの二連覇の原動力となった。2019-2020シーズンより川崎ブレイブサンダースに加入し、クレバーかつ熱いプレーでファンの心をつかむ。204センチ99キロ。愛称は「マティ」「松本」。

ウルグアイの基本情報
正式名称 : ウルグアイ東方共和国
面積 : 17.6万平方キロメートル
人口 : 345万人(2018年の統計)
首都 : モンテビデオ
言語 : スペイン語
宗教 : キリスト教(カトリック)など
地勢 : 国土全体がなだらかな丘陵地帯で、最も高い山は513メートル
気候 : 年間平均気温は摂氏16度程度。冬でも10度以下を下回ることが少ない
主要産業:農牧業、製造業(特に商品加工)、サービス業
※参照元 : 在ウルグアイ日本国大使館外務省

美しき小国から来た青年は、日本の規律正しさに驚き、礼儀作法に感じ入った

—まずは、ウルグアイがどんな国なのか、簡単に教えていただけますか?
とても小さな国ですが、僕にとってはとても美しくて、人が温かい国です。南米にはブラジルやアルゼンチンなどの大きな国がありますが、これらの国に負けないくらいの魅力とパワーを持っている国だと思っています。


—日本人は海外の方から「几帳面」「礼儀正しい」と言われることが多いのですが、ウルグアイ人はどのような人が多いと思いますか?
時間のルールが日本人ほど厳しくないので、自由でリラックスしている人が多いかもしれませんね。また、日本人が年長者に敬意を表するのと似たような感じで、ウルグアイ人は他者へのリスペクトが強いと思います。貧富の差などもありますが、総じて穏やかで、みんなで仲良く過ごそうという意識が強い国です。

—ウルグアイにいたころ、日本にはどのようなイメージを持っていましたか?
自動車が世界で高い水準を誇っているというのが一番のイメージです。僕の実家は酪農を営んでいるんですが、父は日本のメーカーの車を愛用しています。あとはアニメ!ポケットモンスターやドラゴンボールは僕の中のベストアニメですね。女の子にはセーラームーンが人気で、ウルグアイに住む知人の娘さんのために日本でセーラームーングッズを買って贈ったら、すごく喜ばれました。

—来日して驚いたことはありましたか?
すべてが驚きでした(笑)。ウルグアイは小さな国なので、こんなにたくさんの人が忙しそうに動いていることに驚きましたし、なんでもきちんと整理されていて、機能していることにも驚きました。特に、交通手段の発達はすごいですね。バスや電車がしっかり時間通りに来るし、車、バイク、自転車、人がそれぞれのルールに則って生活しているので、町の中を歩いていても危ない目にほとんど遭わないですから。

—理解できない日本の風習はありましたか?
あいさつをするときにお辞儀をすることや、年長者をリスペクトして「さん」をつけたりすることは、最初は戸惑いました。でも今では逆に「日本式が正しいあり方なのかな」と思うようになっています。

—日本をよく思っていただけてうれしいです。好きな場所などは見つかりましたか?
今は自由に出かけるのが難しいけれど、日本の昔ながらの文化が好きなので、寺や神社にはとても興味があります。浅草にも行きましたよ。新しく発展しつつも、古い文化も大切にする日本人の考え方は、ウルグアイ人の僕からするととても独特なものです。

—ウルグアイの故郷の味を楽しめるお店や、食材を購入できるお店はありますか?
残念ながら簡単には手に入りません。特に調味料は、海外の食材を扱っているお店で似たようなものを探して、いろいろ混ぜながら使っています。ウルグアイの味に近いものを探しながら、日本の食事も試しています。

ウルグアイのソウルドリンク「マテ茶」の謎に迫る!

—カルファニ選手のインスタグラムには、よくストローの刺さった壺が映っていますね。あれは一体何なのでしょうか?
あれはマテ茶を飲むポットです。マテ茶って知ってますか?

—日本でも10年くらい前にペットボトルのマテ茶が発売されましたが、残念ながらあまり浸透はしていません。
マテ茶はウルグアイ人にとって、日本人にとっての緑茶と同じくらい親しまれている飲み物です。ウルグアイ人の8割くらいが、日常的にマテ茶を飲んでいるんじゃないかな。オフィスで飲む飲み物もコーヒーよりマテ茶を選ぶ人が多いくらいです。僕も来日1年目、妻と娘が日本に来るまでは、マテ茶が友達のような感じでした(笑)。テレビを見ながらマテ茶、本を読みながらマテ茶、朝から夜までずっとマテ茶を飲んでます。

—日本人の緑茶以上に、ウルグアイの人はマテ茶を愛してるように感じます。 マテ茶は親しみのある飲み物としてだけでなく、ウルグアイ人のコミュニケーション手段の一つになっていますね。壺に1本のストローを刺して、それを親しい人々で回し飲みするという文化があるんです。今はコロナ禍でできなくなってしまいましたが…。

—日本には、親密さを表す「同じ釜の飯を食う」と表現がありますが、マテ茶の回し飲みは、より密接な関係性を作ってくれそうですね。
そうですね。マテ茶の飲み方にもいろいろあって、僕が好きなのは温かくて無糖のもの。アルゼンチンには砂糖を入れて飲む習慣がありますし、パラグアイでは冷たくしてレモンジュースやオレンジジュースを入れるんだそうです。

—お茶の専門店などで買えるようなので、ぜひ試してみます!
ぜひ。ポットは手に入らないと思いますが(笑)。

—それは残念です(笑)。 日本の町なかでポットを出すと、すごく注目されますね。ポットはそれぞれが専用のものを持っていて、自分を表すものをポットにデザインするのがポピュラーです。僕は自分、妻、娘、愛犬の名前とバスケットボールのマークを入れています。


※後編ではバスケについてのお話をうかがいます。

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